水木しげるの漫画「河童の三平」。
友人から借りて読みました。 河童本人たちにも河童と間違われるぐらい河童に似ている少年川原三平。 間違って河童の国に連れて行かれる所から始まる奇想天外な物語です。 死神やタヌキ、小人、そしてさまざまな妖怪が次々に出てくるんですが、だいたいどれもどこか憎めないキャラクターにになっていて、昔話的なほのぼのとした世界をつくりだしています。 途中で河童のストトントノス大王の7つの秘宝を探すために恐ろしい妖怪たちと三平たちが戦っていく、という冒険があるんですが、これが全くゆるい。 三平というのは田舎のただの少年なんですが、他の漫画だと物語が進むにつれて成長して力をつけていく、というような展開になりそうなんですが、全くそれがない。 ずーっと普通の少年(といっていいのか)川原三平のまま。 他の劇画をコケにしたような力の抜け具合です。 三平が死んでしまうシーンさえもあっさり。 たったひとコマ。 物語の終わりも静かに、昔話のように幕を閉じます。 しかし、何と言っても、私がこのちくま文庫版で708ページもある大作の中で最も印象に残ったひとコマは、、、 「だれもが屁をたのしむ時代にしたい」 への道を極めた無臭老人のひとこと。 三平は自分の屁力で自爆した無臭老人の残された肛門をとりつけ山奥深く屁の音楽を奏でたとさ。 11年前の今日。1997年8月31日。旅の466日目。アメリカ合衆国 シアトル。 夕方日本の友人Mに電話してみた。 日本は月曜の朝7時。 もう数分で出社せねばならない、と言っていた。 また一週間が始まると思うと憂鬱だという。 自分も会社で働いていた時は確かに日曜の夜はいつまでも眠れなくて、月曜の朝はつらかったが。 彼はこのまま会社勤めをやっていけるんだろうか? 旅の間に彼から何通も手紙をもらっていた。 日々のことを書いた文章の中に、「平凡」とか「安定」とかいう言葉が何度も出てきた。 自分は「平凡」や「安定」から抜け出したくてここまで来たんだろうか? そんな気もするし、今となってはその平凡な毎日がまたそれなりに輝いて見えたりもする。 「どうしてそんなことするの?」 「旅の目的は何?」 よく尋ねられたが、このときに至っても正直よくわからなかった。
by haiderinn
| 2008-08-31 09:45
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