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アンガマ

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a0094201_2285944.jpg 八重山で旧盆に行われる行事と言えばなんといってもこれです。アンガマ。あの世(グショー)からやってきたおじいちゃん(ウシュマイ)とおばあちゃん(ンミー)の二人が大勢の子供たち(ファーマー)をひきつれて島の各地で芸能を披露するもの。
 昨日は夕方1時間ほど店を閉めて、石垣市平得のレストラン「とんとん」さんで催されたアンガマを見せていただきました。
 伝統芸能というと堅苦しいものを想像しがちですが、このアンガマはとてもおもしろい。あの世からおじいちゃんとおばあちゃんがやってくる、という設定自体かなりユニークですが、その二人ともあの世の人と思えぬほど陽気なのがまた笑えます。顔も常に笑っています。そして独特の声。池澤夏樹編「オキナワなんでも事典」には水木しげるがアンガマについて解説していて(なんて適切な人選!)、この声について「死者の声はかくあらんと思われるような独特の声」と書いています。
 その声で、この世の人(つまり私たち)からのあの世についての質問に即興で答える、というやりとりがまた楽しい。
 去年ある保育所でやっているアンガマを見た時は、園児のひとりが「ウシュマイ(おじいちゃん)の頭に乗っているのは何か?」と質問したところ、(髪を丸くまとめてあるだけなのだけれど)「これはおばあちゃんが昔くれたシュウマイだ。だから私はシューマイ、ウシューマイ、ウシュマイというのじゃ」とかなりきわどく切り抜けていたりしました。
 まあ、かなり自由にやっているわけですが、これは、アンガマが石垣各地の青年団が中心になってやっているからでしょう。ほんとに驚くべきことなのですが、こんなに大きな行事なのに、別に市が組織だってやらせているわけではなく、行政の単位でもなんでもない青年団が自分たちの力でこの伝統芸能を島じゅうで盛り上げ、継承していいっているのです。
 ンミーとウシュマイも面白いのですが、ファーマーと呼ばれる子供たちも異様ななりをしています。笠を深くかぶり、顔は布を鼻の頭まで引き上げ、誰が誰だかほとんどわかりません。男性も女性も着物をきて、楽器を持つ手だけだしているので相当あついはず。あの世から来た人なので、現世の誰かとわかってしまってはいけないのでしょう。ここまでやるか、というぐらい徹底して行事を盛り上げるわけですね。
 アンガマの皆さんはほぼ一時間おきにあちこちに移動してアンガマを披露する、といことを旧盆の3日間続けるわけで、練習もかなりしているでしょうし、本番も相当たいへんなはず。すばらしいです。
 前記の水木しげるは同書のなかで、アンガマは「死者を弔い、死んだ人のことを思う行事としては世界最高のものだと思う。」と書いています。
 YouTubeで「あんがま」のビデオがありました。見れる方は見てみてください。その独特の声もわかると思います。

 11年前の今日。1996年8月27日。旅の97日目。 インド アウランガバード。本当はこの日アジャンタに行く予定だったが、昨日アジャンタ行きをやめてしまったので、荷物整理などして一日つぶしたらしい。何とつまらない。
 覚えているのは、この日、部屋で聴いていた短波ラジオのNHKの海外向け放送で東京都内の渋滞情報が流れ、急に東京の暮らしの中にもどったような感覚になったこと。
 いまだにすぐ東京の日常に戻れる回路が残っているのかも。日本を離れて3か月以上過ぎても、何年も過ごした毎日の中でしらずしらずに頭の中に食い込んでいた音が「どこでもドア」みたいに、元の場所への入口になっていた。
by haiderinn | 2007-08-27 03:00 | 島のこんな話題
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