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角田光代 「八日目の蝉」

a0094201_10211433.jpg いまごろ、かもしれませんが、、、角田光代作「八日目の蝉」を先週土曜に読み終わりました。
 月曜日のブログはそのことについて書こう、と決めていたのですが、この物語の世界から離れがたく、部分部分何度も読み返し反芻するばかりで感想がまとまらないまま、結局ブログ更新が一日遅れてしまいました。

 これから先も思い出しては心が温まる、一生ものの湯たんぽを心に入れてもらったような、そんな作品でした。きっとまた読み返してみたくなるでしょう。

 是非読んでもらいたくてこれから作品を紹介するのですが、どうしてもストーリーに触れてしまうので「危険だ」と思われる方は次の
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のところまで読み飛ばしてください。

 不倫相手とその妻の間にできた赤ん坊を「見るだけ」と忍び込んだ留守宅。一人部屋に残されている生後半年の赤ん坊。
 抱き上げたその子が笑いかける。
 希和子は、「私がまもる」という気持ちを抱き、その子を連れて部屋を出てしまう。
 それから薫と名付けたその子を抱いて逃げ続ける。

 怖れるのはおそらく法に裁かれることではなく、薫と引き離されること。
 だから客観的にはどうあろうと「誘拐」という言葉は似つかわしくない。
 「今日も一日無事でありますように。明日も薫といっしょにいることができますように」と祈る希和子。
 やがて海の光とオリーブの緑、彼岸花の紅とお醤油の匂いに包まれた小豆島にたどり着く。
 そこで束の間の「小さな生活」を手に入れる。
 やがて終りが来ることが分かっている「親子」を描いた前半。
 
 「本来の」家族のもとにかえされた薫(本名は恵理菜)。
 しかし、彼女が家族の中にいること自体が過去のいまわしい事件の記憶をよみがえらせる。
 恵理菜は幸福だったはずの幼い日々を憎むべき事件として心の闇に追いやるようになる。
 やがて、特殊な集団生活の中で育てられ恵理菜と同じように心に傷をもつ千草、そして新しい命との出会いを切っ掛けにして、トラウマとなった過去の記憶と向かい合い自分を取り戻す旅に出る恵理菜。
 それが後半。

 読んでいる間じゅう切なさを感じる物語でした。
 前半は、かわいらしい薫と輝く小豆島の風情の中でのふたりの日々がどうか終わらないでほしいと思いつつ。
 それはまさに地上に出てきた蝉の生と同様のはかなさなのでした。
 後半は、幸福で美しい子供時代と、一心に薫へ愛情を注いでいた希和子が憎まれ闇に閉じ込められてしまっていることが切なく。
 だから最後に(書きますよ、最後のこと)
 少女時代の記憶を光の中に取り戻した恵理菜が、希和子が逮捕される直前に言い放った言葉を思い出したとき、もうたまらず、、涙があふれました。

 刑務所から出て「がらんどう」の希和子に唯一残された小豆島での薫との日々の記憶。
 行ってしまったら思い出が壊れるかもしれない。
 それは本当に全てを失うことに等しい。
 希和子にとって「手放すことによってのみ、私たちは解放される」なんてことはない。
 だからきっと希和子は小豆島にわたることができない。
 恵理菜は過去を取り戻すために島へと海を渡り、希和子は過去を失わないためにとどまった。
 最後の最後にふたりの人生がわずかに重なる。
 希和子に薫をめぐり合わせる(気付かないけど)ラストシーンに作者の優しさを感じたなあ。

 読み終わり余韻の残る頭で物語冒頭の0章をもう一度読んだとき、
 ああ、、。
 そうか、とさらに泣けてきました。

 私自身も十分明るい南の島にいるのですが、いつか小豆島に行ってみたくなりました。 
 そしてなんだか、もう一人子供が欲しくなっちゃったなあ。

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 では遅ればせながら4月30日~5月5日までの週替わりメニューのご紹介です。

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 今日のカレーは「タイレッドカレー」から始まります。
 なくなり次第、次の「コリアンダチキン」にかわります。
 朔の「タイレッドカレー」は牛バラ肉入りのタイカレー。少し辛めです。
 オクラとナスも入っていますよ。

 今週のサラダは「ゴーヤ、シメジ、コーンのサラダ」です。
 レモン醤油ドレッシングでどうぞ。

 今週のデザートは「バナナココナツムース」です。
 甘い香りのバナナとココナツは相性がとてもいいですね。
 シンプルなムースですがちょっと蒸し暑い南国の夏にぴったりです。
by haiderinn | 2012-05-01 10:53 | こんな本

男の子ってこんなか、、、もね。

a0094201_9252673.jpg 陰暦では皐月の十一日。
 石垣の日の入19時28分。
 月の入 明日の2時58分。
 もうだいぶ東の方から月が現れるようになりました。

 西原理恵子の「毎日かあさん」。
 わけもなく好きになれなかった西原理恵子の漫画。
 マンガ好きのバイトの方いn聞いたら案外そういう人が多いそうです。
 でも、この「毎日かあさん」を読んで泣く人続出。
 わたしも4巻で鼻の奥が熱くなり。。。
 しっかし、こんなに男の子は悪がきでしょうかねえ。
 自分の記憶の中の自分の子ども時代はここまでとは思えないが、、。
 でも、家と家の間のドブをよく通ったり落ちたりはしてたなあ。
 夜中に便器の中に体半分以上落ちたこともあった。
 母親の新しい服の肩越しにゲロしたことは帰郷すると今だに必ず語られるエピソード。
 。。。。。026.gif
 多少大げさに書いてあるかもしれないけれども、この漫画に出ているようなことに近いことはこれから覚悟せにゃならんかもなあ。
by haiderinn | 2009-06-03 09:22 | こんな本

ホーチミンへトリップ

a0094201_1044553.jpg 陰暦では卯月の二十六日。
 石垣の月の出2時32分。
 昨日とはうってかわって強烈な日差しだなあ。
 風があってよかった。
 一日中雨だったから風がないと湿気がこもってたいへん。
 石垣ではこんな朝、アジアのどこということもない街角の記憶が蘇ってくるんだよなあ。
 なぜか鼻の奥の方から。

 この写真集もそんなアジアの記憶をまざまざとよみがえらせてくれます。
 「Bikes of BURDEN」
 ベトナム ホーチミン。
 被写体はバイクにまたがる人々、、、とありえない荷物。
 これっすよ、ベトナム。
 遺跡とか名物とかじゃなくて、こんな光景に出会えるなんて予想もしていなかったところに最もその土地らしさが現れちゃう。
 たとえばこの表紙の写真。
 積載物は生きている(はずの)アヒルと鶏。
 後側はもう鶏が地面につきそうじゃない?
 日本では普通じゃないこの状況なのに、乗っている人の「ふつー」っていう顔がまたいい。
 他にも大型犬2匹前後積み、米俵ほどの何かがいっぱいに詰まった麻袋前後積みの上にさらに松葉づえを二本抱えたおばさん積み、えい積み、道路と歩道をわける3メートルほどの柵二人乗りでそれぞれ片手もち積み(運転手片手運転)、生きた豚十頭ほど後ろ積み、死んだ豚3頭前後積みの上に乗って運転などなどなど。
 その他にも何かよくわからないものも満載。
 前書きには「こうしてありとあらゆるものを積んだバイクに出くわす理由のひとつは、新鮮な食材へのこだわりだ。冷凍食品は使わず、農場からと畜場から倉庫から直接消費者へと渡る」
 と書いてあります。
 なるほどね。
 スローだけどファースト。
 そして
 「いずれもっと便利な交通機関を人々が利用するようになるとバイクはなくなり、冷凍冷蔵製品をつかうようになり、みな忙しくて市場になんていったられなくなるだろう。」と書いてあります。
 実際、少しずつベトナムの風景は変わっているようで、自分たちが行った時にはたくさんいたシクロ(三輪車のリキシャ)も見かけにくくなり、バイクはヘルメット着用になったそうです(と、この本を借りたAさんが言ってました)。
 そうか。
 でも記憶の中からはなくならんからね。
 こうした写真や朝の空気からでもそのときのベトナム直行です。
by haiderinn | 2009-05-20 10:39 | こんな本

辻信一の「カルチャー・クリエイティブ」

a0094201_10304386.jpg 陰暦では卯月の二十二日。
 石垣の月の出0時21分。

 「100万人のキャンドルナイト」提唱者の辻信一のインタビュー集。
 タイトルの「カルチャー・クリエイティブ」とは新しい世界を創造する人という意味。
 経済成長、効率、時間厳守、グローバリズムといったこれまで世界を支配してきた価値観から離れてスロー、ローカル、スモールといったことを大切にして実践している人たち51人へのインタビューです。
 たとえば波多野毅さんは熊本で寺子屋を開いて「あ、こんな人になりたいな」とか「かっこいいな」と思える大人たちを子供に紹介している。そんな中で大学に行く代わりにドイツでパン職人を目指す子供が生まれる。
 小林俊夫さんはヤギが世界を救うという。
 ヤギは草を人と食べるものが競合しないし、牛とは違い小さいので子供でも年寄りでも育てられる。それで乳や肉や毛が利用できる。広いスペースも必要ないので都市近郊でも飼育できる。その辺の草を食べてくれるので除草剤がいらないなど。
 カレ・ラースンさんは「カルチャー・ジャム」という活動を通して巨大企業(GAPやナイキやスタバなど)の作る<消費文化の中の薄っぺらな「カッコよさ」を引っぺがして、醜さ、ダサさを暴いてやる>。対抗するクールな手段でそれらを「アンクール」する。
 その他にも読んでいて、あまりにもおもしろい考え方や実践の仕方がたくさん載っています。
 それぞれのインタビューはそれほど長くなく、どこからでも読み始められます。
 堅苦しい内容でもありません。
 かなりお勧めの本。 
 私は「なちゅらる宇宙人」さんで購入しました。
by haiderinn | 2009-05-16 10:30 | こんな本

小山薫堂「もったいない主義」

a0094201_104745.jpg 陰暦では卯月の十九日。
 石垣の月の出23時1分。
 大阪の月の出22時42分。
 この時間だとさすがに貴族のおっさんにとっては寝待月。
 
 最近読んだ本でおもしろかった小山薫堂「もったいない主義」。
 次々に企画を生み出す小山薫堂の発想のポイントは「もったいない」を見つけることなんだそうです。
 たとえばケーサツの交通取り締まり。
 予算を違反者摘発だけに使うのは「もったいない」。
 取り締まるだけでなくてドライバーをほめてあげたらよりマナーが改善されるのではないか、と考える。
 そこで「ホメパト」をつくってみる、という発想が生まれるそうです。
 一時停止をしっかり守っている車をみつけたら「ナイス!」とか「さすが!」とかほめてあげる。
 ドライバーは同じところを通るときにほめられたことを思い出してまたちゃんと停車する。
 首都高速で実際この企画をやったそうです。
 自分の事務所の受付が単なる受付では「もったいない」。
 そこで受付ごとパン屋にしてみたら周りの人たちにも喜ばれるだろう。
 実際彼の事務所はパン屋を兼ねている。
 パン屋の奥に事務所の入口があって事務所に来たお客さんは「パン屋の奥に入れる」というプチセレブ感を味わえるそうです。
 ほかにもたくさん面白い発想が書かれてありますが、読んでいて自分もこうした発想ができるのはないか、という気分になれます。
 普通に考えるとマイナスのことでも「もったいない」からプラスに考えていく。
 視点を変えてみる。
 別にそれ自体目新しい発想法ではないのですが、小山薫堂流にいうと「神様にフェイントをかける」となる。
 たとえば、いつもの出勤時間にいつもの駅にたつ。
 神様は「おまえはどうせ8時3分発の電車に乗るんだろ」と思っているところに逆向きの電車に飛び乗る、とかね。
 前向きな発想になれる本です。
 小山薫堂という人は、自分たちが東京にいたころはJ-WAVEの番組でちょっと面白い話をする放送作家だとおもっていたのですが、最近は「おくりびと」の脚本を書いた人として知られるようになりましたね。
 
by haiderinn | 2009-05-13 10:05 | こんな本

「ピヌムトゥ」第2号 読みました

a0094201_1094549.jpg 陰暦では卯月の十二日。

 「ピヌムトゥ」の第二号が出たという噂をきき、「やまだ書店」にて購入(立ち読みばかりしているわけではないんです。山田さん)。
 いやあ、今回もおもしろいなあ。
 きび狩りのルポ。
 あんなにしんどいことを冬場から4、5月までやっていたなんて知りませんでした。
 オバアに聞け!のオバアの笑顔、、、いないですよ、今どきこの顔できる人。
 すごい方です。
 「はてるま日和」にはお客様の「かっちゃん」が登場。
 へー、こんなことがあるのか。
 ピッカピーの木の絵も強烈だ。
 そしてお楽しみの小説「海に咲くゆり」。
 頼むからもっと早く次を読ませてくれ。。。
 随所随所の写真も素晴らしい「ピヌムトゥ」第2号は「やまだ書店」さんにて380円。
 朔の本棚にも置いときます。
by haiderinn | 2009-05-06 10:22 | こんな本

40年前は「原始の島」って呼ばれちゃう西表だった。

a0094201_9561623.jpg お客様に貸していただいた本です。
 戸川幸夫著「原始の島」。
 昭和41年(1966年)1月10日発行ですからもう43年前の本です。
 沖縄返還前の八重山、特に西表について書かれています。
 まだこのころはイリオモテヤマネコが「発見」されていなかった。
 村人の目撃情報レベルの、いってみればツチノコ程度の存在だった山猫を追い求めた著者が頭がい骨などを「日本」に持ち帰ることで、新種発見の大騒ぎになった顛末を中心に当時のイリオモテの様子が取材されています。
 これがとってもおもしろい。
 今の日本では田舎と都会の差などほとんどないといっていいでしょうが、この当時の西表はほとんど戦前の素朴な姿をそのままとどめているかのようで、日本人でもカルチャーショックを受けるような暮らしぶりであることがわかります。
 水牛車で移動する。
 宿といえば民家を借りて寝る。
 一晩で家の中にかけた罠にネズミが16匹かかる。
 雨水をためてボウフラをこして水を飲む(すべての場所ではないけれど)。
 そんな当時の西表は、しかしある意味でちょっと理想郷的雰囲気も残っている。
 道で出会うと帽子を取って挨拶する中学生。
 たまにある島の踊りを本当に楽しみにしている村の人たち。
 よそ者をいきなり泊めてくれる家。
 隣の石垣が先に都会化し始め、西表にもこれから開発の波がやってくるその少し前に書かれた昔の八重山の姿が記録された貴重な本かなと思います。
 お堅い本のようですが、かなりくだけた内容で読みやすいです。
 図書館等で見かけたらぜひ一読をお勧め。
 
 9年前の今日。2000年2月4日。 タイ バンコク 晴れ。
 8時半起床。
 午前中は洗濯。
 昼飯は、いつも通りがかりに気になっていた「レックさんラーメン」と日本語で書かれた看板のある店に行ってみた。
 日本にあっても違和感ない味の醤油ラーメン。
 日本の漫画が置いてあり、当たり前のように日本人が食べている。
 自分も日本を出て3か月になるのだから、もう少しありがたいというか新鮮な気分になってもよさそうなのだけれど、当たり前にラーメンをすすった。
 きっと帰ってからも当たり前に元の生活を始めるのかもしれない。
 夕食は屋台でカオパット(タイの焼き飯)を食べながらラオスを通ってきたアヤベさんにラオス情報などを効く。
 朝食のときに出会った人からもラオスの話を聞いたのだが、予定の2週間ですべてを回るのは短すぎるようだ。
 今回は北部を中心に回ることにする。
by haiderinn | 2009-02-04 10:18 | こんな本

村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」

a0094201_9472769.jpg 村上春樹、「走ることについて語るときに僕の語ること」。
 これで検索した結果このブログにたどりついた村上春樹ファンの方ですか?
 あらら。申し訳ありません。
 「走ることについて語るときに僕の語ること」について僕の語ることは、取るに足りない感想ですし、真剣なファンの方が読んだらもしかしたら怒ってしまうかもしれないので、あらかじめおことわりしておきます。
 トランプでババひいてしまったと思ってください。
 自分は村上春樹の本はこれまでたった一冊しか読んだことがなく、作者についてうすぼんやりとした印象しかもっていないのですが、今回この本を読んで一気に親しみがわきましたね(え?勝手に親しみをわかしちゃいけない程おそれ多い人ではないんでしょ?)。
 私も毎年石垣マラソンに参加するランナーなのですが、この本読みながら
 そうそう。
 と思うことしばしば。
 フルマラソンを走り終えたときに思うことは
 「もうこれ以上走らなくていいんだ」ということ。
 おお、村上さんもそうなのか。
 タイムも3時間半ぐらいが一番いいところ、というのも自分と一緒。
 ああ、この人も今朝は走らないでこのまま寝ていようか、なんておもうこともあるのか。
 等々。
 そして、彼が初めて走ったマラソンはアテネーマラトンのマラソン発祥のルートなんだそうだ(大会ではない)。
 その写真が本の中程に掲載されている。
 乾いた歩道もない一本道をギリシャの車と一緒に走る村上春樹。
 すまん。笑ってしまいました。
 カッコよくそのときのことを書いているこれど、これじゃ、変な外国人そのものだ。
 だって人が走るようなところでない田舎の国道を上半身裸で外人が走っていたらへんでしょ。
 おまけに、「完走後、ギリシャ式のレストラン兼カフェ、タヴェルナでくつろぐ」という写真の若き村上春樹(30代前半)は、全くくつろいでないんだな。
 不愉快な顔としか思えん。
 まあ、真面目な人なんだな、この方は、というのがおおざっぱな印象です。
 村上春樹が作家になったいきさつや、ジャズ喫茶経営時代のエピソードも書いてあり、その点も非常に興味深いものでした。
 走っている方、ご一読をお勧めします。

 9年前の今日。1999年12月15日。 シエムリアプ 晴。
 5時起床。
 アンコールワットにのぼる朝日を見るために5時半にチェアニーさんが来ることになっていた。
 ところが目覚ましより先にノックと大きな日本語の声で起こされた。
 ベトナムから何度となく出会っている大学生カヤマ嬢だ。
 一緒に朝日を見に行くことになっていた。
 彼女は大学を卒業したら牧場か何かで働けばいいと思うほど朝からはつらつとしていた(が、実際は先生になった)。
 早朝のアンコールワット。
 まだ星が少し見えるぐらいの時間帯から観光客が大勢入場していた。
 朝焼けをバックに黒いシルエットとなっているアンコールワット。
 夜の間にいろんなエキスが溶け込んだようなスープのような熱帯の朝独特の濃い空気を吸い込みながら思わず黙りこむ。
 10時頃まで戻ってひと眠りした後2日目の見学に入った。
 プラサット・クラバン、バンテアイ・クデイ、スラ・スラン、タ・プローム、タ・ケオ、トマノンという順で回り、最後にアンコールワットをまた訪れた。
 この中で印象深いのはタ・プローム。
 古代から生い茂っているような大木に遺跡がところどころ飲み込まれているような寺院。
 巨大な木の上では、熱帯の鳥がときおりけたたましく鳴いては飛び去り木の葉を散らしていく。
 木の葉は乾いた音をたてて地面に積もる。
 風が吹くと上空高い所からやさしく木の葉ずれの音が届く。
 スケールの大きなところだった。

 タ・ケオ遺跡の上にあがっていたら、警察が何やら言ってくる。
 何かまずい事でもしたかと思ったら、警察手帳を見せて手を5本開いて見せる。
 以前聞いていた、これが警察手帳を売る警官だ。
 実際買ったやつから見せてもらったことがある。
 5本の指はたぶん5ドルということなのか。
 売ってしまったあとはどうするんだろう。

 料理長も自分もレリーフの中に出てくる様々なキャラクターの中ではアプサラ(天女)が一番気に入っている。
 手足をくねって踊っている姿がとてもかわいらしい。
 夕日は中央祠堂の上から見ようと考えていたが、レリーフを見ているうちに日が沈みかけたし、一日中歩いてくたびれたので回廊から見ることにした。
 夕飯はごはんとおかず2品にビールで5000リエル(1USD=3800リエル)。
by haiderinn | 2008-12-15 10:16 | こんな本

間取りの手帖

a0094201_9402168.jpga0094201_9403287.jpg 先日、喫茶「しろくま」さんに行ったら、棚にこんな本を見つけました。
 「間取りの手帖」 佐藤和歌子著
 全編が写真右のような間取り図で構成された本。
 かといって設計の専門本というのでは全くなく、1ページ1間取りとコメント、というより「つっこみ」で成り立っています。
 5万円とか6万円という値段も書いてあるので、おそらくすべて賃貸物件なんでしょう。
 とにかく普通の間取りのものはなく、妙チクリンなものばかり。
 いや、この作者の鋭いツッコミにより、普通の人にとっては平凡な間取りも、大家が狭い土地に無理やり作ったか、設計士のフェチ的趣味が反映されているか、バブル時代の恥ずかしい成金趣味で作ったか、そんなムリヤリな間取りに見えてくるのです。
 新書版の大きさで、表紙がまた住宅展示場の広告の裏紙のようになっているのもおもしろい。
 「しろくま」さん(女性)も言っていたけれど、そういえば子供のころ、日曜日の新聞に織り込んであった住宅展示場の広告の間取り図を飽きずに見ていたもんでした。
 眺めていて楽しい本です。
 見てみたい方は「しろくま」さんへ(桃林寺すぐ裏)。

 9年前の今日。1999年12月7日。 サイゴン 晴れ
 8時半起床。
 快晴の朝でサイゴン、いやベトナム最後の一日にふさわしかった。
 ビザの期限が決まっているから仕方ないのだけれど、こうして振り返ると何にもしないで過ごした日というのはこれまでとても少ない。
 疲れるわけだ。
 その日も午前中はトラベラーズチェックをUSドルに換えようと歩き回った。
 しかも、ドルを新たにベトナムドンに両替してしまうと余って無駄になるので(カンボジアでベトナムドンは両替できないはず)、最小限の50,000ドンだけを料理長と二人で使うことにしていたため、暑くても冷たい飲み物を我慢していた。
 終いに二人とも不愉快になってきた。
 疲れたので午後は宿で昼寝して休憩したが、料理長はつかれたままのようだった。
 しかし、せこい性格の自分たちは、それでも起きて予定通りチョロン地区と呼ばれる中華街に出かけた。
 しかし、中華街とはいえ、感じの看板が多少増えたぐらいで横浜のように他の町並みと劇的に違うとうわけではなかったので拍子ぬけ。
 あまり盛り上がらず。
 夜は春雨麺のMIENを市場で食べた後、ファングーラオ近くの屋台街でチェーを食べる。
by haiderinn | 2008-12-07 09:59 | こんな本

期待していたんですが

a0094201_1005366.jpg ちょっと前にお客さんが熱心に読んでいた伊坂幸太郎。
 薦めていただいたので「重力ピエロ」というのを読んでみました。
 ミステリーってあんまり読まないんです。
 宮部みゆきをかなり前に読んで以来か。

 この本を薦めてくれたTさんには申し訳ないですが、「重力ピエロ」。。。うーん、ちょっと入り込めなかったなあ。
 この人頭でっかちすぎんじゃないかなあ、、と偉そうに思ってみたりしました。
 いろんな豆知識がちょっと鼻につく感じ。
 ちょっと展開が強引なところもあり、そういうところで白けてしまうこともあったり。
 今年の本屋大賞はこの方の「ゴールデンスランバー」だそうですが、どうなんでしょう。
 自分はこう思いましたが、きっとファンの方も多いと思いますので、またご感想などいただければと思いますが。
  
 9年前の今日。1999年11月23日。ホイアン 晴れのち雨。
 ホテルに全く朝日が届かないので10時まで寝込んでしまった。
 こんなホテルは早々にチェックアウトだ。
 ドミトリーのあるHOAI THANH HOTEL(3USD)へ移動。
 ようやく晴れ間がのぞく。
 昨日の移動で一緒だった方と街で出会い、トゥボン川のボートツアーに乗る(約1USD)。
 ボートから眺める景色は特別なものではないが、風が吹き抜けると気持ちが良い。
 船からあがり缶ジュースを買って川べりのベンチでくつろいでいると、ポストカード売りの女の子がやってきて
 「おまえ、ポストカード買わなかったな、バカ、アホ」
 と言ってきた。
 船に乗る前にそういえば同じ子からポストカードを勧められてなんとなく断ったのだが、その時女の子が
 「later(後でか)?」
 と言っていたのに適当にうなずいていたのかもしれない。
 それでも買いにこないことを責めているのかもしれなかった。
 それにしてもストレートに敵意を向けられるというのは、たとえ相手が子供であろうと気分がひどく沈む。
 こうしたことが頻繁に起きるとだんだんその国が嫌いになっていくのかもしれない。

 夕食後、映画を見に行く。
 待合室のロビーに貼ってある写真と解説はベトナム語で読めなかったが、どうやらベトナム映画のようだ。
 7時に上映が始まった。
 映画館自体は200人ほどは入りそうな中規模のホールだったが、映写機らしきものはなく、一番前に大きなプロジェクターが据え付けてあるだけだった。
 映画はなかなか始まらず、音楽ビデオを10~15分ほどはがしていると、客がじわじわ入ってきた。
 ようやく始まると英語の映画だった。
 なんだかジェラシックパークに似てるなあ、パクリか?
 と思っていたら最後にジェラシックパーク2のロストワールドだということに気づいた。
 それにしてもロビーの写真と解説はなんだったのか??
a0094201_9545258.jpg
(ホイアンの町並み)
by haiderinn | 2008-11-23 10:09 | こんな本