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こんな本読みました 田口ランディ「もう消費すら快楽じゃない彼女へ」

a0094201_9374430.jpg 田口ランディの本をこの前初めて読みました。
 恥ずかしながら、わたくし、田口ランディは男性だと思っておりました。
 しかも、この「もう消費すら快楽じゃない彼女へ」の最初のコラムを読み終わった後も、そう信じて疑っていませんでした。
 だから、最初の話で新宿のゲーセンで出会った女の子の部屋に泊まる、という話も本人が男性である、という観点で読んでいたわけですが、2番目を読み始めて、、、「ん?」
 女じゃん、田口ランディ。。。
 最初の話のときかけていた色メガネがはずれました。
 だいたい、ランディっていう名前が紛らわしい。
 ランディっていったら、やっぱ、ランディ・バース(阪神タイガースの助っ人外人。2年連続三冠王、王の年間ホームラン記録にせまる54本塁打などの記録を持つすごい人)を思い出さざるを得ませんから。
 それはともあれ、どうしていままでこのひとの本を読まなかったのだろう、と悔やまれるほどの内容でした。
 コラムニストと紹介されているので、こういう文章はコラムというのでしょう。
 コラムとエッセイがどう違うのか、今一つよくわかりませんが。
 書いている内容は社会の小さな事件であったりするのですが、個人的な体験を通して書かれているからか、論評とか解説になっていないからおもしろいのでしょう。
 特にこの本の中に何度か登場する在日朝鮮人の友人の意見をからませた部分は、ときに目から鱗の内容です。
 たとえば、「どうして人を殺してはいけないのか?」という子供の質問にテレビ番組で大人が答えられなかった、ということが数年前あったようですが、それについてその在日の方は(友達から借りた本ですでに返してしまったので正確な引用ができないのですが)、人は誰でも2歳かそこらになるまで、周囲の人間が手とり足とりして、ご飯を食べさせないと生きられない存在で、そうなるまで子供は泣いて空腹を訴え、必至で「生きたい!」とアピールする。それは、この地球上の60億人すべてがそうなんだ、と。だからそんな質問自体がふざけたことだ。これは感情論だけれども、理屈が感情よりも上位にくるなんて思っているからだめなんだ、と。そのテレビで答えるべき大人も、大学教授や評論家ではなく、そこらのお母ちゃんにやらせた方がずっといいんだ、と。
 なるほどお。
 これに限らず激しく共感できる内容が多いもので、今後も今更ながら田口ランディの本を読んでいきたい、と思ったわけでした。
 ネットで検索すると田口ランディ盗作疑惑なるものがあるようですが、本人の性別を初めて知ったような自分は、それについて語れるレベルではありません。
 今はただただ素直に本の内容に感心するばかり。

 11年前の今日。1997年4月6日。旅の318日目。ハンガリー ブダペスト。
 朝5時半ごろ、駅員に寝袋の肩をつつかれて起こされた。
 起こされたといっても、眠れたのはおそらく2時間程度だろう。
 寝袋の横を通るロクでもない連中が興味本位に顔を覗き込んだり、体をつついたりしたので、近くに人がよると警戒して眠れなかった。
 駅員はハンガリー語でなにやらボソリと2回言いながら待合室のほうを指差した。
 どうやら待合室があいたのでそっちに行け、ということなのだろう。
 待合室のベンチで暖房の効いた中眠れるとは有り難かった。
 すでに何人かが待合室のベンチで横になっていた。
 自分も奥の木のベンチに横になりウツラウツラしていた。
 しばらくすると、明らかにジーンズの右後ろポケットからメモ帳がそっと引き抜かれる感触を覚えた。
 熟睡していたわけではないのですぐに起き上がり見ると、通路で横になっていたときに肩を叩いてこちらの顔を見た男のようだった。
 だとするとあの時も熟睡していたら何か盗ろうとしていたのかもしれない。
 自分は立ちがり男の手をつかんで「ポリース?」と言ってみたが、
 男はハンガリー語でおそらく
 「警察に連れて行くなら連れて行け」
 というようなことを開き直った態度で吐き捨てた。
 自分はとりあえずあたりにいる人間に、英語と身振りでこいつがポケットからものを盗ろうとした、と言っては見たが、こんな時間にこのあたりで眠っている連中自体そもそもロクな奴はいないので、皆たいした反応はしなかった。
 その中で、そばにいた男が
 「プロブレム?」
 と近寄ってきた。
 その男に、さっきと同じように訴えてみた。
 そのとき最初にポケットに手を入れてきた男が何事か叫んで自分の手を振りほどき、「プロブレム?」と近づいてきた男とともに待合室を出ていってしまった。
 は?
 後から来た男もぐるだった。
 自分がそれ以上騒がないように紳士然として近づいてきただけなのだろう。
 ポケットからモノがスルリと抜け出る感触が生々しく残っていた。
 すっかり興奮して眠れなくなったが、インフォメーションが開く9時までは待合室におとなしくしていた。
 インフォメーションはさすがに英語が通じて、駅近くのユースホステルを教えてくれた。
 電話で空きベッドがあるかどうかの確認までしてくれた。
 ほっとした思いで外に出ると、昨晩の雨もすっかりあがり、にわかに気分も晴れ上がった。
 ユースは昨晩歩いた範囲内にあったが、ホテルのサインも何もなく、外からインタホンで名前を告げて鍵を開けてもらうような仕組みの立派な古い建物の中だった。
 夜歩いても見つかるはずはなかった。
 とても清潔な部屋で、1000フォリント(約6ドル)という安さ。
 移動続きで疲れたので少しここでゆっくりしようと思った。
by haiderinn | 2008-04-06 10:28 | こんな毎日
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